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制度創設50周年を迎える
建設共済保険の現在と未来

理事長

公益財団法人 建設業福祉共済団
理事長 茂木 繁

 「一身にして二生を経るが如く」とは、明治の黎明期を思想的に導いた福澤諭吉の述懐ですが、平成25年度に内閣総理大臣の認定を得て公益財団法人に移行すると同時に、特定保険業の認可を厚生労働・国土交通両大臣から得て保険業法の適用を受けるようになった当団もまた、特に公益法人として義務付けられる収支相償の原則を順守すべく内閣府から要求されていた事業構造の見直しを行った平成28年度以降は、新たなシステムへの切替えや事務所の移転も重なり、まさに同じような感慨を持ちながら、皆様方に支えられて制度創設50周年の節目の時を迎えることとなりました。心より感謝申し上げます。

 二巡目に入り、現在はコロナ禍で中断していますが、理事長に就任して真っ先に宣言したのは、営業活動の先頭に立ち、都道府県の建設業協会の会長と専務理事に主に照準を当てて、懇談と会食の機会を求めて全国行脚することでした。さすがにその地方を代表する名士の方々です。年上の方はもちろん、年下の方であれ、教えられることのみ多く、大変意義深いものがありました。建設業のマイナスイメージを払拭するような映画の製作を熱心に説く会長もあれば、その強力なリーダーシップで会長訪問後には加入率が見違えるほどに向上し、掛金収入と新規加入に多大なる貢献をしていただいている協会もあります。

 何と言っても会長のご苦労は、地域を支える会員に満遍なく仕事が行き渡る環境の整備と会員各社の経営の安定です。建設業の宿命は、工事が完成して喜びを分かち合う暇もなく、次の仕事を取りにいかなければならないことだと、厳しさを訴える方も多くおられました。治山治水といい、衣食住といい、人の暮らしに建設業は欠かせません。そのことを言わず語らず、その醸し出す風格から等しく感じ取られる思いがして、頭が下がりました。

 さて、当団に新機軸をもたらした平成28年度の改正のポイントは三つあります。一つは、掛金の現行水準は維持した上で、100%充てていた保険料部分を85%に圧縮し、極力剰余金が出ない財政構造に改めるとともに、残りの15%を次の三つの公益目的事業に充当することです。二つ目は、この15%のうち当面10%は、育英奨学事業と一般助成事業の財源に充て、毎年発生するこれらの事業の赤字を補てんすることで、財政的安定を図ることです。三つ目は、15%のうち当面5%は、特定保険業の他業として認定された労働安全衛生推進事業の財源に剰余金とともに充てることです。この事業のメインは、安全衛生用品の頒布です。また、女性の就労環境を改善するため、現場に専用トイレや更衣室を新設する際に助成を行います。労働安全衛生推進者表彰は、契約者と理事長の連名で顕彰するもので、本人の了解を得た上で「安全の守り手」として当団のホームページに掲載します。地域に開かれた教育訓練施設の整備助成は、特別助成の要件に該当する本部と支部に対して行います。お陰様で契約更新率は、以後過去最高水準の96%台後半を維持しています。

 将来的な課題も剰余金の取扱いを含め何点かあります。まず、24,000社の契約者の中で近年は完工高10億円以上企業が平成25年度の1,586社から令和元年度は2,039社と大幅に増加する一方で、近未来に予測される担い手不足等による契約者数の減少等を考慮すると、加入構造の動態的変化を踏まえて掛金の収入構造と無事故割引率を適合させるべく調整を図る必要があることです。その際に、完工高10億円以上の区分を細分化するとともに、契約者保護の観点から掛金が極端な割高や割安にならないよう漸進的に是正していきたいと考えています。また、保険金に5,000万円区分を新設して、4,000万円では足りないというご要望に応えていく所存です。さらに、会長企業の加入が41社に及ぶ中で、準スーパーゼネコン級の企業も加入を検討できるような設定ができないかという問題もあります。加入率が残念ながら低い大都市圏への対応は、当団の未来にも大きくかかわります。

 当団は、契約者から預かった掛金のすべてを「契約者と業界の発展のために」をモットーにして公益目的事業に投入していくことで、業界に真に役立つ存在であり続けたいと願っています。建設共済保険の目的は三つあります。「労働福祉」「企業防衛」「余裕金の業界への還元」ですが、これからも事業の拡充に努め、福祉と共済のバランスをとりながら、建設業福祉共済団という名前にふさわしい形に一歩でも近づけていきたいと考えています。

 当団は、国の補助金等の支援を受けることなく独立採算を旨とし、全建との特約の下に掛金を拠出し合う共済の精神に立脚した制度の充実と普及に努めながら、契約者間の二極分化の進行と担い手不足等による業界の地殻変動に備え、かつ、コロナ禍の影響も見据えつつ、収支相償がもたらす課題に適時適切な対策を実施してご期待に添っていきたいと決意を新たに しています。皆様方の絶大なるご支援を引き続きお願い申し上げる次第です。

「全建ジャーナル 2020.11月号 掲載」